厳しい経済環境の中でも開業や法人設立を考える方へ

スポンサーリンク



中央区茅場町の税理士高橋輝雄(@teruozeimu)です。

2020年4月2日現在、新型コロナウイルスの影響はまだまだ沈静化はしていません。
むしろその影響はこれからさらに加速する可能性があるのではないかという状況です。

とはいえ、現在も独立開業や法人設立の相談は入ってきます。

だからこそ本日は私の見解をここで書いておきます。

無理して法人にする必要はない

ちょっと前にいただいたご相談は何が何でも4月中に法人化するというもの。
なぜかと理由を聞いてみると占いでそのように出たからだそうで(^^;

私の好きな諸葛亮孔明も占いをよく愛したと言います。

しかしながら、占いによる結果はその時点での結果であり、
未来は自分の力で変えられるとも諸葛亮は言っていました。

占いの結果を将来の指標として参考にするのと、
市況を把握せず人外の結果を信じて飛び込むのとは異なります。
(念のためですが、占いを否定するワケではありませんよ。)

本当に法人化が必要なタイミングなのか?

何となく売上が上がってきたから法人成りするという人も多く。

私の身近でもここらで法人成りを考えていたけれど、
コロナウイルスの影響で客足が遠のき、急激に売上が減少した飲食店さんがいました。

1月にその話がありましたが、まだ会社設立していなかったので
まだ良かったと思うところです( 一一)

また、個人事業主について勘違いしている部分も多いのではないかなと思います。

  • 法人にしないと銀行などから資金調達できない
  • 法人でないと取引してもらえない
  • そもそも独立=会社設立(法人設立)と思っている

これらはすべてが間違いではありませんが、正解でもありません。

補足
先日アドバイスしたのは、税理士でも最初からどうしても法人の設立をゴリ押しする人はやめなさいと。
というのも税理士側としては、法人の方が個人事業主よりも報酬が高くなる(=儲かる)のが普通だからです。

個を活かせるなら個人事業主でも十分である

個の時代」というフレーズを聞くことも多いですね。

正直なところあなたのビジネスが属人的で「どうしてもあなただからお願いしたい
という場合にはそもそも組織化する必要がないかもしれません。

いや、組織化するとそれがデメリットになってしまう場合もあります。
(それは自分の悩みでもあり強みでもありますが…)

コンサルタントとかも代表的な例ですね。

初めから組織化を考えているなら法人もあり

ただ、自分の商品・サービスを汎用的にして売り出す、
あるいはプロジェクトのような流れを考えているのであれば
法人化というのも向いていると言えるかもしれません。

余談
海外はどちらかというとビジネスを一人でやる事の方が少ないようですね。
これは昔からの国民性もあるのでしょうか?
ドラクエのパーティーのように営業・技術・資金・人脈みたいにそれぞれが役割を持って ビジネスを始めるのが主流というのを聞いてなるほどと思いました。

節税のために法人化は悪手

やはり今回のような不測の事態を考えると節税のためだけに法人にするのは
あまり賢い選択ではないなと思いました。

そもそもこのたぐいで相談にくる場合には下記のような視点が抜けている事が多いのです。

  1. 法人を作っても法人・個人両方で税金がかかる
  2. 社会保険は法人にした時点で強制になる
  3. 個人のように会社の通帳に残ったお金は自由に使えない

法人を作っても法人・個人両方で税金がかかる

利益が増えてきて法人化したところで、法人には法人税・法人住民税・事業税がかかり、
消費税も売上規模が大きければ普通に発生します。

そして、自分が自由に使えるお金を得るためには自分で作った法人から
自分に対して給与(役員報酬)を出さなければいけません。

給与ですから、支払う時には所得税が引かれます。

社会保険は法人にした時点で強制になる

ほとんどの場合、個人事業主の時には国民健康保険と国民年金を支払うだけです。
しかし、それが法人化した時には社会保険(健康保険&厚生年金)は強制加入となります。

人数が少なければ社長ひとりだけの会社ならば加入しなくて大丈夫。
という勘違いが多いのですが、法人=社会保険加入です。

これだけでも法人化した方が手元に残るお金が減ったという人は多いですね。

個人のように会社の通帳に残ったお金は自由に使えない

特に3番目は注意していないとジャンジャン自由に引き出して使っていて、
結果として決算の時に貸付金などというダサい(失礼)科目が載るような事に…。

銀行から融資していて貸付金なんか残っていたら心象悪いのは言うまでもありません。

まとめ

以上でこのような環境下においても開業・法人設立される方に
お読みいただきたいメッセージとして書かせていただきました。

ビジネスを立ち上げるのは熱意がいるし、楽しみでもあるでしょう。
理想の立地を探すのに一年近くかかってようやく見つけたという方もいらっしゃいました。

しかし、だからこそ少々冷静に今の状況をみて動いていただけたらと考えます。

そういった意味でも会社を作る前に税理士などに相談するのが良いかなと私は思います。
それを見つけるのも大変だと言われればそうですが、
私であればリモートでお話を聞いたりはスケジュールさえ合えば可能です。

このコロナウイルスを乗り切りましょう!
どうかあなたのご多幸を願って。

この項 了

The following two tabs change content below.

高橋 輝雄

税理士・FP・元SE。 税理士界の諸葛亮孔明を目指して自己研鑽の日々を送る。 「税務・経営・自分の思考」を軸にHPとブログにて情報を発信。 情に厚く、大変涙もろい。ナイアガラの滝のように泣く。 更に詳しくは著者紹介

スポンサーリンク





高橋輝雄の節税テクニック本が発売されました

税理士の高橋輝雄が、主に中小企業の社長様をターゲットとした節税テクニック集をまとめた書籍を販売致しました。

kindleによる電子書籍本となります。kindleunlimitedを利用している方は無料でご覧いただけます。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です