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書評:マーケティングのすゝめ

コトラーと高岡社長の対談に概ね満足

マーケティングの世界で有名なフィリップ・コトラーと、ネスレ日本の高岡浩三社長の共同執筆本。

中ではお二人の対談も一章丸々使って載っていたりします。

自分は書店でたまたま平積みにされていて、パラパラと読んでみて惹かれて購入しました。

Amazonで「ベストセラー1位」となっていました。
何のカテゴリーかと思ったら、発売元の『中公新書ラクレ』というカテゴリー内での一位。

調べてみて、そんなのもカテゴリーにあるの!?という感じです。
単にベストセラー1位と言われてもそれで買うのは少々危険ですね。

結論から言いますと、本の内容自体は概ね全体的には満足という所です。

ただ、後半の第5章以降は、ややネスレを賞賛し過ぎてる所やコトラーの広告的な処も少々あり、全体の評価を落としている感があります。

確かにネスカフェ・バリスタキットカットのプレミアムバージョンがヒットしている今日この頃。

ネスレも新卒で入るには良い企業ではないかと思います。
ですので、就活生や大学生が読んでも良いかなと思いました。

 

おおよその目次は下記になります。

第1章 21世紀のマーケティングとは何か

第2章 マーケティングの変遷と進化

第3章 「顧客」と「顧客の問題」とは何か

第4章 イノベーションとリノベーション

第5章 問題解決は「問題発見力」が出発点

第6章 コトラー・ビジネス・プログラムの全貌

 

全体で237頁です。
サイズも新書サイズなので、サラッとよめるかんと思います。

 

印象に残った言葉『世のイノベーションのほとんどはリノベーションに過ぎない』

この言葉が一番この本において目から鱗だったかなと。

確かに、世に出ている新製品やサービスのうち、本当に目新しい革新的なものが「イノベーション」であると。
イノベーションのようで、実は以前の既製品やサービスの延長上にあるようなものは「カイゼン」によるリノベーションに過ぎないものであると。

何かにつけて、「これからの時代はイノベーションが必要」と叫ばれてはいますが、それは本当にイノベーションと呼べるものであるか?という事をよく考える必要があるなと思いました。

私のいる税理士業界のサービスも同じですね。

大抵は、単に切り口を変えてリノベーションしたものや、「相続専門」などのポジショニングを意識したサービスが多いのかなと。

イノベーションを意識した事業も今後は必要になると思っています。

 

まとめ

純粋なマーケティングの本を読むのは久しぶりでした。

マーケティングは、当初はモノを売るサービスが主流であり、モノが不足していた時代はそれで通用してきました。
それが、モノが溢れ、単にモノを売っているだけでは売れなくなり、消費者志向に移り、社会を意識した活動から価値を生むという流れを経てきました。

本書でも、マーケティングの流れを掴むなら、コトラー氏の書いている「第2章 マーケティングの変遷と進化」を読めば十分かなと思います。

それだけを知っておくだけでも、この本は入門者なら読む価値はあります。

これからの時代、

いかにモノを売らずにコトを売るか?

ということを常に意識することが重要であるとは私も思っています。

よく考えれば、私の信条である「三方よし」という、昔の近江商人の心意気というものが、今の時代でも本当に必要でしょう。
SNSなども発達し、売り手だけが得をするような売り方をしていれば、その評判はすぐにでも広まってしまいます。売り手よがりの売り方が、ここ数年で、今まで以上に通じなくなったのかなと。

マーケティング4.0と言われるようになって、自己実現を促進させるようなサービスが必要になると。

税理士も消費者(=クライアント)が自己実現するのを助けるような立場を意識して税理士も必要にならなければいけないと思います。

その意味では、自分も税務だけでなく、得意とするシステム関係やFP、心理カウンセラーの知識を総動員してお客様に提供しているのは悪くないのかなと。

そして、今までの先生業にあるような上からの立場ではなく、やはり、サービス業という意識も持たないといけないのかなと思いました。

日々精進しながら過ごしたいものです。

 

「高橋輝雄税務会計事務所」では税務を始めとして、幅広く皆様の相談をお待ちしております。

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【編集後記】
金曜日は久しぶりに故郷の春日部へ。
昔通った市進予備校が無くなっていて驚きました。

もう一つ、初めてのギターを購入し、以後も弦を買ったり、
楽譜を買ったりと、よく通った「昭和楽器」はまだありました。

【一日一新】
・春日部ふれあいキューブ
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高橋 輝雄

税理士・FP・元SE。 税理士界の諸葛亮孔明を目指して自己研鑽の日々を送る。 「税務・経営・自分の思考」を軸にHPとブログにて情報を発信。 情に厚く、大変涙もろい。ナイアガラの滝のように泣く。 更に詳しくは著者紹介
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